高島・旭竜エコミュージアム 設立と活動内容 座談会

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座談会
高島・旭竜エコミュージアムの4年をふりかえって

2001年3月に「高島・旭竜エコミュージアム」の活動を振り返る座談会を開きました。私たちの活動の雰囲気を感じて頂ければ幸いです。

X: 高島・旭竜のエコミュージアムは地域の環境づくりの活動を公民館といっしょに、地域の方と行政とが一緒にやっていくにはどうしたらいいのかを考えながらやってきたんですけど、ここでやったことをまとめて「エコミュージアム活動マニュアル」みたいなものをつくりたいと思ってます。それはなぜかというと、最初モデル事業として作らしていただいてそれが今まで続いてるんですが、他のところでもこういうことをやりたいということがあり、そういうところで活用できるようなマニュアルがあれば手が付けやすいかという思いで、つくろうと思ってます。マニュアルづくりをすることになれば、エコミュのまとめにもなるかと思ってます。
今日、まとめに際してお聞きしたいことを8つに書いています。
時間がないのでさっそくお聞きしてもよろしいでしょうか。適当にお話いただければ結構です。このうちのいくつかは、先月兵庫県環境政策課が来たときの内容とだぶっているので、その時にお話いただいた方はそれと同じ事で結構ですので、適当にお話し下さい。
まずきっかけは何でしたか?(笑)

H: 人のつながりです。

Z: そう無機的に答えずに自分史として語って頂きたい。
最初、Xさんとエコミュを始めた時は人集めが一番大事という認識がありました。何で釣ろうかと考えた時に、関心のあるおもしろいイベントをやって、そこに来た人からどんどん参加してもらったらということで、最初イベントをやったんですね。それに見事に引っかかって来られたのか、あるいはもっと違うチャンネルがあって、ここに寄りついて来られたのか。その辺は活動を始めるときのポイントになるのではないか。どうなんでしょうね。

H: 私はイベントでひっかかったくちではないなー。

I: 一番最初はアユモドキの観察会。あの話の時からですね。

X: 引っかかったくちですね。

H: Gさんは一本釣りされたのでは。

G: 僕は一本釣りされてない、僕は雑魚のくち。網に引っかかってしまった。
一本釣りはAさんでしょう。

A: Vさんから声がかかったんですね。何かのイベントが終わった後だったように思うんです。自然に興味はあったけど、活動がものすごく専門的な所にはついていけないし、地域でやるようなものがなかったところにエコミュが出来たから、これくらいなら自分の守備の範囲で出来るかという感じでしたね。だから、「やらされ感」を持ったことはない。
今はPTAの方が「やらされ感」がいっぱいなんで……。(笑)でも、そっちも何とかなりそうなんで、やりたい感の方に戻っていきたいと思ってるんですけど。

G: アユモドキというイベントだから引っかかった。これがホタルならひっかかってなかった。というのは、アユモドキというのに、僕が岡山にいて興味があったから。ここに住んでいて良かったという感じ。

I: 私は周りの淡水魚というかタナゴ釣りの方から見てて、その回りにいる魚としてのアユモドキの知識があったからということ。

A: 地域性が強いのは大きな魅力。ただの専門的なものへの興味というのではなくて。地域にいたらいろんな人に会うじゃないですか、車ですれ違ったり。人間的なつながりもあって。

Z: 地域で何かをしたり知らない人とつるんで何かをすることに元々興味があったとか、好きものだった方ばかりなんですか? そうでもないんですか?

D: 好きもんでしょ、ここにいる人は。前から素地のある人ばっかり。Hさんはここに来てはまったのかもしれませんけど、でもその気はありますよね。

Z: そういう人は、それまでもいろいろチャンスはあったと思うんですけど、地域でやっていた訳ではないんですか。

I: 自分が1人や2人で声を上げて何かをやろうかというのはちょっと難しいと思う。そこで行政というか岡山市がある程度旗を振って、お金が出たり人が出たりすると、旗の元に集合すればいい訳だからやりやすい。

H: 場所が大きいね。公民館などの場所が使えることとか、いろんな資料をコピーしてもらえるとか。そういうのが使えるのが大きい。友達同士の遊びじゃ、なかなかそういうことがうまくいかない。

I: 例えば誰かの家に集まってとか喫茶店に集まってというのでは、なかなか動きにくいというか。

H: やらされ感で行くのじゃないんだけど、あるから行こうと。みんなが集まるこの日というある程度の筋があるから。

Z: さっきのDさんがおっしゃってた「目標と期限がないと出来ない」と言う話ですね。「緩やかなしばり」がないとということ。

H: 「緩やかな」でいいんですけどね、当然。

I: 定例会というのは大きいと思う。

B: 定例会って?

A: 毎月決まったときにってこと。

I: 公民館と地元の人達と岡山市の三位が一体でやっているから、やりやすいし、やる気も出るしということだと思う。これが1つでも欠けるとしんどいことにはなると思う。

D: 最初から公民館でやったのだったかな。

I: そう。第一回かどうかわからないけど、アユモドキの会をしたのはここ。

V: アユモドキの話で集まった後に誰かがここに来られて…

D: Aさんの家に集まって、B君が夏休みの宿題の報告をみんなの前でやったときだね。

B: あれはエコミュージアムに入ってから?

Z: あれは最初にどういう人材がいるかと探し回っていて、Dさんからの紹介でAさんのところにおじゃまして何とか引き入れようと…。

A: あれはもっと前?

X: もっと前といっても97年になってからです。僕が環境保全課にいるんだから。

D: それでアユモドキのイベントがあって、公民館でやるようになったんですかね。

V: 誰かが大人の集まりも欲しいということで、計画して、アユモドキを見に来られた方に連絡したんです。

D: じゃあ、最初はイベントがあって、それから。

I: あのころM先生がおられたから、古い話とかいろいろ聞けておもしろかった。

G: 昔はああやった、こうやったって語っていただいて、そこで出てきたキーワードがジャコウアゲハとウマノスズクサだった。
それをずっと引っ張ってきた。

H: 私はそのころは知らないからね。

V: でも、Hさんわりと早く。

H: 98年の9月くらい。

Z: Gさんからはアプローチがあったんでしたっけ。最初イベントに来られて、話をしているうちに一緒にやりませんかという話になったんでは。

G: 始めここでアユモドキの謎を探れというラリーがありましたね。自分はそれには参加しなかった。
ホタルまつりに行った時に、淡水魚研究会が展示していた横に「アユモドキの赤ちゃんを捜せ」というパンフレットがあった。そのパンフレットを手に持ったのが始まりです。その講演会の後で、「次は○月○日の○時からこの地域の自然や歴史を語る会を開こうと思うんだけど、もし来れる人は参加して下さい」というお知らせがあったので、じゃあ行ってみようかと思った。
来た最初は、自分が何をどういうスタンスでこれに関わっていけばいいのか全然わからなくて、Xさんにメールを書いたんです。「どういうスタンスでそれに関わればいいんでしょうか。何を目標としてやっていったらいいんでしょうか。」と。
「まあ、気楽に考えてください。なるようにしかなりませんよ」という答えが来て、まあ、そんなものかと思いながら、未だに多少それはあるんですけど。

Z: その時に疑問を上手く受け止めてくれた人の存在ていうのが大きいんですか?

G: そういうのが話せる相手がいるというのは非常に大きい。何もないところで何か方向付けなければいけないのは、自分がそれを引っ張らないといけないというので悩んでるのではなくて、どう関わればいいのかわからない。

D: そういう疑問にも通じると思うんですけど、活動記録を見てたら思い出すんですけど、ここにいない顔ぶれが最初もっともっといましたよね。
最初来てたのにだんだんいなくなる人の心情の変化はどうなのか。その辺に今やってることに足りないものが何か隠れているんでしょうね。ずっと残ってる人はほっといても何かやるような人ばかりだから残るんですけど、本当によちよち歩きで始めようかなという人が残れない何かがあるんでしょうね。

I: 年齢的な差とかもある。

D: うちの市役所でも、N君とか来てたんですけど。足が遠のくというのは何なのかな。

H: 最初の1年くらいで来られなくなったのかな。L先生は私が来始めて来られなくなりましたね。

G: L先生は「グリーンシャワーの博士になろう」の時に、こんな人が高島にいるということで、関わっていただいた。

V: エノキのときなんかにね。

D: Y君は進学でいなくなったからしょうがない。

I: 最初の1年くらいで、来る人は来る、来られない人は来ないと人が固まった。

A: M先生なんかはジャコウアゲハの事に熱意があって、自分でたぶん今でも志を持ってやっておられるでしょう。

V: 集まりが夜だし……

I: 体調や年の問題もあるし、集まっている年代からあまりにも離れていると、ちょっと来にくいという人もあるかもしれない。

G: 寒くなるとこられないですね。

A: 年齢が限られてますよね。Yさんはちょっとお若いですけど。

X: 30〜40代。やってる人間がね。Y君がちょっと若い。

B: 僕が一番若い。(笑)

I: 逆に言えば、これぐらいが一番関心を持ち始めた年代なのか。

A: 自分の仕事以外のもので、何か自分のものをと思い出したくなる年齢かもしれません。

X: すごく珍しいんですね。地域の会議をやって、これくらいの年齢の人しかいないというのは。50、60、70代が中心でしょう。

G: 地域の自治会みたいなのはそうですね。

Z: 地域でなくても、市民の活動を市が音頭を取って公募したりすると、たいがい60代が中心で、時々40代の人が来ると、ああ若いっていう。それが最近の傾向ですね。

H: 40代の普通のサラリーマンはなかなか時間が取れない。

A: うちのとうちゃんもそうですね。時々来てたんだけど。

D: Kさんみたいな仕事の人が地域活動に参加するって、他じゃ考えられない。

H: あの人は本当に特別だね。いわゆるサラリーマンの人は珍しい。

I: Kさん、もしかしたら転勤が来るかもしれない。

A: ということは職業と関係ありそう。

I: 無視できないでしょう。

D: 公務員か変な仕事の人のいるところじゃないと出来ない。

Z: そういう人がコアになったらいい。サラリーマンは日曜日にでもたまに出てきて、そこでいろいろ体験してもらったらいい。

X: 昼間の会議だったら、また年齢層が全然違うだろうな。夜と昼と両方いるんかな。

G: 40代50代の人が増えるでしょう。

H: 土日の休みまで出ていかなきゃいけないんだと思う人もいるし。

G: これが遊びだと思えば。こういう集まりとか企画することが。

H: そうそう遊びだと思えばね。

X: そういう感覚、素晴らしいな。

D: 仕掛け人はだれだ。

X: 知らん。

I: ニフティの川のフォーラムでも「エコミュージアムとは何ですか」という質問が出ていたし、他のところでも自分たちもやりたいけどどうすればいいかわからないという話が出ていた。岡山の場合はこういうパターンでやっているので、たまたま出来てるんですけどという話をした覚えがある。

Z: 普通集まって何かをやるというと、同じ趣味の人が集まって狭いところでやる。
一方で地域活動をやるのというのがあるけれど、エコミュはそこの中間的な位置づけなんでしょうかね。地域には足があるけれど、テーマの趣向にもある方向があるように見えますよね。
そういえばいろいろ一時調べてられてましたよね。

G: 古文書の水路の図面だとか、ここにも持ってきているけど。

D: 歴史の人と自然の人が対等に組んでやっている団体はあまりないですね。いろいろ見ていると。やっぱりどっちかに偏る。

Z: 地域から見ると、両方行けそうに思うんですけど。

D: 相性がいいように思うが。どうも人の系統が違うのかな。

H: 興味としては、同じくらいになかなか持てないんじゃないかな。

D: パソコンが好きな人と自然が好きな人はかなりオーバーラップしているんだけど、歴史と自然はあまりないですね。

G: でも歴史と自然は根本が一緒でしょう?

D: 一緒に何かをするというのは難しい。いないことはないけれど、数は多くないと思う。

G: 歴史は人間だけ、自然は生物全部でしょ。一部を見るか、全体を見るかの違い。

H: そうはなかなか考えられない。おもしろいか、好きかという段階から入るからね。

G: そりゃまあそうですけどね。

H: 一般の人には何か近寄りにくいものがある。

I: 歴史といっても、随分昔の弥生時代の遺跡がどうだとか、そういうの僕らはあまり感じないけど・・。

G: でも、その遺跡から魚の骨が出てきてごらん。これ何の魚やと思わへん? 今の魚の骨格と比べるで絶対。(笑)

一同: そこまで考えるのはGさんだけだよ。

I: 何の魚かとは考えるかも。それぐらいなら考えるかも。

G: 釣り方まで考えへん? 漁具だとか。

X: 引きずり込もうと思ってる。(笑)魚の話をしたのは、あっち(Iさん)へ釣り針を投げている。

H: ボクなんか、魚食ってたんだな、で終わりだもんな。

G: 土器の底に小さくなったかけらがあって、それを顕微鏡で見たら、これがどの植物に入ってるけい藻の固まりだとか。

I: そういうふうに見る人と、何か入ってるな、そうかと置くだけの人と両方いるんだわ。

X: これはおもしろい話だ。

H: 私なら置いて、次の食い物をさがすわな。

G: その食い物を僕らはいつから食ってるんだろうとか。

I: あんまり興味ない。

X: 今食えるかどうかです。

D: 現代の南方熊楠みたいな人は別格として、一般の人は何か近寄りにくいものがあるんでしょうね。

I: 例えば、地域のことで、Rさんの「昔はここに道がついてて」というような話を聞くのは非常におもしろいと思うんですけど。後は、近代の鉄道の話とか。

D: 大エノキでAさんがやられた聞き書きのようなものを、もっと出来たらいいでしょうね。
富山学区が今作ってますよね。Nさんという童話を書く人が中心になって、「今聞いとかにゃおえん」と、自然のことも歴史のことも。

A: OさんとPさんが聞いてきてくださった。

I: 堤防の上にはトロッコが通ってとか。

D: その世代の人がいなくなったら、確実にわからなくなってしまいます。

I: 今あるかないかは別として、そこに道があったいえば、そこに立つと何となく感慨深いし、そこに線路があったんだよと言われれば、なるほどなって思う。昔の「軽便」が通ってたんだわとか。

H: 「軽便」って、どんなものかわからないわな。知ってる人もいると思うけど。あのとき「軽便」って初めて聞いた。

X: そういう昔の話を聞く機会はあまりないですか?

D: エノキの時に、たまたまエノキを核に一部出てきたから、掘り起こせばいくらでもありそうだなと予感はしていたけれど、あまり機会はなかった。

A: 改めてそういう機会を設けないとなかなか聞けない話よね。

I: M先生の話で競馬場があったりとか、Sさんの馬がそこに出ていたとか、そういうのが繋がりがあっておもしろかった。

A: うちの裏にテニスコートがあったとか。写真見せてもらったんですよ、隣のおじいさんに。びっくりした。そこを公園にしたいという運動を湯迫の方がされていて。

H: 今はヤブと山になっている。

X: 地域開発の歴史だね。

A: うちのダンナが機会を設けて、隣のおじいさんに聞いてずっと記録しているんですけど。ちゃんとした話を聞かせてくださいということでその時間に来てもらって、しゃべってもらいながらそこで入力する形でしています。改めてそういうふうにしないと、なかなか聞ける話じゃない。

I: 知らないことを知るというのは、エネルギーというかいいよね。

Z: そういう話を地域に返すとすごく反応がありますか?

A: ある程度の年齢の方にとったら、それは当たり前の話なので、あえて話すことではないと思っていたと思われるし、私たちと同じくらいの年齢層は、そういえば聞いた事があるけれど、どうなのかなって感じですね。

D: エノキの冊子を誰かに見せたら、あれ違うんだと反応がいっぱい出たといってましたよね。同世代の人に聞くと、そうじゃ違うんじゃという感じでいろんな議論がわき起こるネタにすぐなるんでしょうね。

X: 今、一の荒手の話でそういうことになってる。

D: あの人はそう言うんだけど、本当はこうじゃないんだと。

H: エノキの場合は、エノキという芯があって、それに対して話があって、それをああいう形にまとめたから良かったと思うんですね。ただ聞いただけで、ああそうですかというんだったら、とりとめがなくなってまとめられなくなっちゃう。でもあれはすごくよくまとまってた。

D: あれはいい勉強になった。

V: 話されたいというのがあるんでしょうね

Z: あの時はそういう危機感からみんな結集したと思いますけれど、何か上手いテーマを見つけてそれでやっていけば、まだまだ関心を集められるんでしょうね。

D: エノキの伐採がなかったら、この活動の中で流れがかなり変わってたというか。

Z: やっぱりひとつのエポックですか。

D: 僕は特にそう思うんですけど。あそこばっかり一生懸命やったから。

H: 聞く側も聞かれる側もエノキというのがあったから、聞きやすい話しやすいということなんだ。

I: そりゃあ確かに、漫然と昔の話をしてくださいではダメよ。

D: 茶飲み話で終わってしまう。

Z: エノキを地域の人と一緒にやられたじゃないですか。あれでこのグループの存在感は高まりました? 認知されました?

D: ちょうど良かったですよね。始まって1年ちょっと過ぎでエノキの問題が起こったから、みんなだいたい顔見知りになっていたし、動きが早かったですね。

G: 地域に認知されたかというのはどうなんだろう。

V: 地元の町内会長はそうですよ。エコミュの活動を知ってられたから、それで参加しようと思われたということはあった。

G: こういう活動をしている場所、例えば、百間川をしている時は今在家の人にはわかっているし、賞田でやってることは賞田の人はわかっている。

X: 賞田でやっていることは今在家の人は知らない。今在家でやっていることは賞田の人は知らない。そこが問題。

I: 公民館でやっているということがいい。

H: いろんな情報を公民館経由で出している。わくわく探検隊のちらしなんかでも、小学校経由でみなさんに行ってるから。

I: あと例の公民館便り。

D: 信用があるんですよね。単なるミニ団体が公民館経由で出てくると。

H: あんまりうさんくさくないのかなという気がする。

G: 公民館でやっていることもあるし、公民館が関わっていることなのかなという。

A: 大エノキがあったから顔が見えた。エコミュがあるらしいというのは知ってても、誰がやっているのかどんな人がやっているのか、町内会の人は知らなかったと思うんです。でも顔が見えたから、全然知らないところで会っても、おおっ大エノキの時の…って言われる。そんな風に思ってくれてたんだと思って。

Z: Aさんはメディアに良く出てらっしゃいますから。

I: 地元のスターです。

D: エコライフかなんかで、出てらっしゃいましたよね。

H: ああいう事故というか事件(エノキ伐採の件)がなければ...。(エノキ伐採の件が)すごくいいきっかけになったと思います。あれがなくてこういう状態でずっとやっていたら、ここまで続かなかったのかもしれない。こっちから仕掛けたわけじゃないけど。

D: 最大限活用して、こっち側が拡充したような感じ。

I: それから、エコミュージアムの活動をやっているというだけで、小学校とか幼稚園とかのイベントに来てくださいという引き合いがある。

H: ちゃんと見積もり書いてください。

Z: ということは、彼らにまかしといたら何か上手くやってくれそうだという期待感があるんですね。

X: なんとなくおもしろそうな顔してるし。

D: 地域の環境の専門家に違いないって、勝手に勘違いしている。

H: 外部の人に頼んで何かをしようというときにとっかかりがないんじゃない? エコミュージアムというのが何かのとっかかりになるのかもしれない。やっぱり公民館と一緒にやっているというので信用度が高いんじゃないかな。それがなかったら、うさんくさいと思われるかもしれない。

I: 高島の自然を守る会かなんかで、毎月1回どこかの喫茶店で集まりましょうじゃちょっと。

D: 地域の自然保護団体はみんなそんな形でやってきたんだけど。

G: そんな団体も長年やっていたら、今僕らがほんの数年でやっていることが出来はじめる。10年20年かかって。僕らは最初から公民館というバックを持ってやっていたからそういう状況になっている。その違いはすごく大きいよね。

D: 恵まれてるよ。

A: いつでも、ちゃんとレジュメを作ってはったりね。自分が行かなくても会が進んで行くという、みんなある程度そういう楽なところがあって。人数が少なくても、とにかく出る会議があって。背負わなくてもいい楽さといったら申し訳ないけれど。

Z: それがなかったら、いつの間にかグループ自体が雲散霧消してしまうかもしれませんね。

A: 私もここ1年ほどなかなか出て来れなくて、でも行きたいときにはあるという、そういう安心感はあります。

Z: 灯台みたいなもの。

D: 今のIT時代を先駆けた事ばっかりする人が多かったから。

H: メーリングリストは良かったですね。

A: メーリングリストも良かったでしょうが、それのために、話がわからなくなった人もいるでしょうから。
M先生はどうなんでしょう。

D: あれでだいぶ選別が、世代的なセレクトがあったかもしれません。

H: メーリングリストは当初からやってた?

I: 11月ごろかな。

D: あれが始まって、エノキの事件が起こったからエノキが上手くまとまった。みんな連絡を取るのが上手になってた頃にエノキの問題が出たから、最初にXさんから来たのがみんなにばーっと知れて。

G: いつでもどこでも暇な時に見れるから、お盆の最中とか関係なかったですね。

X: パソコンの難しい話はわからんからな。

H: 電話で何かしようと思うとあそこまでいかない。みんなに一発でいくというのは大きい。

X: エノキは一週間しかなかったから、あれがなかったらもう止まらんかった。

G: 前日の夜中にメール出して、次の日にここに来てたもん。申込書を書きに。

I: 毎月の定例会をメールを回してやっているんだけど、バーチャルというか、会議室がそこに存在している。

H: 両方有るからいい。顔を見て話するのと。明日はこんな話をしてほしいなというのがある時は流しておけば... 「Xさん、今日はみんなに呼び掛けてるな」というのが、よくわかるから。来てくれというのが行間からひしひしと伝わる。

D: デジタルアーカイブまでやるなんて、ITの申し子みたいなグループですね。

I: 一つの手段として道具として、上手い調子に使えたという。だれがごり押しするわけでなく。

Z: 人材というか役割分担という話になりつつあるんですけど、IT専門家が一人いれば貴重だという意見が出てきました。
他にもこんな人がいたらおもしろいとか、スムーズに進むとかいうことはないですか。

D: IT専門家は一人じゃなくて3人も4人もいらしゃる。

Z: リーダーはいらないんですか? 今はいないですね。カリスマもいらない?

G: カリスマが倒れた時に分かれてしまうでしょ。

X: でもリーダーは要るんじゃないですか。

I: 地域のスターはおるけど。

X: 例えば町内会長はいないと。

I: 下手に権力のある人間がいたりいなかったりというのは……

H: 常にリーダーではなく、何かをやるときの中心人物がいればいいような気がする。

A: 実行委員長?

G: 常に互選している。無意識のうちに。

D: 集団指導体制?

H: 「冊子をまとめる」といったらこの人に行くし、「ホタル」といったらこっちに行く。それを嫌だと言わずによしやろうという感じになる。

G: 公民館でやっているし、公民館の館長が中心といえば中心だと。

X: たまたま今はそうなってるだけですけどね。

D: 歴代の館長さんが協力してくれたのが大きいんじゃないですか。

X: たまたま高島公民館はそうなんですけどね。

D: それも必要な人材ですね。

H: そういう雰囲気があるというのは非常に重要だと思う。ちょっとあそこへは行きたくないなってならない。

G: リーダーになってる人って、責任取れる人?

A: そこがエコミュの事務局みたいになっていて、いつ行っても連絡が取れる。いつ行っても人がいて聞きたいことが聞けるという状態にあるっていうのも。リーダーじゃないけど常に中心になっている。

H: そういう状態があるっていうのは、すごいこと。

G: ひょっとしたら新しい組織かも。ちゃんとしたリーダーがいないというのは。

Z: 「決まり」といったら、毎月会合をするということだけですかね。

I: そうそうそう。月1回メーリングリストに書き込みをしてくださいとはいわない。
見るだけの人にもどうぞ。

G: 定款がない。でも補助金の申請のときに困る。

D: コモンセンスで運営されている。

I: 何もなしで適当に回る。他の団体はどうなんだろう。

G: やりたいことが決まっているのか、他の人がやるからまあついて行こうかの違いでしょう。

Z: どうやったらそうなるんでしょうね。

H: どこから金をもらったり、金取って何かをするとなれば必要なんでしょうね。

G: 確実にね。それがないと困るっていうことでしょうね。

X: 行事ならそれでも良いんですけど、最終的に白か黒か決定しなきゃいけない場面が出てくるじゃないですか。例えば、エノキを切るか切らないかとか、アユモドキを殺すか増やすかという何か出てきたときに、どうやって決定するのか。
決定に絡まないからこういう組織で出来るんだと思うんですけど。何か決めてはんこを押さなくちゃ行けないなら、こういう組織体制では出来ないと思うんですよ。例えば、町内会だったら、道を通すとなれば同意書に判を付くという作業があったり、どうしてもリーダーがいると思うんですよね。

D: このグループはそういう今までの地域組織とか利害関係で集まってるグループとは全然違うんだねきっと。代表がいなくてもある程度やっていける。

I: 町内のために何かしなくてはいけないとかね。

D: 自然保護のために代表を置いて運動をするというのとも違うし、今までにないような。

G: 書類上は、いつもVさんにお願いしてましたけど。

X: それでいいのかという思いはありませんか。

H: ありませんというか、まだそういう活動をやってないんだよね。

X: エノキのときはそうなんですよ。

H: エノキはエコミュージアムじゃない。「大エノキを守る会」なんだ。

D: 臨時的に必要な時は作るという。同じメンバーで。役目が終わったら解散する。

X: なるほど、それはいい。おもしろい。

H: エノキはエコミュージアムとは違う訳だからね。

X: でも、実質一緒なんでしょう。でも違うと言えるところが良いんだ。

D: 道路に反対しようとすると、道路を考える会をにわかにでっち上げて要望書を出す。

Z: 今は研究したりイベントをやったりしてますけど、将来ビジネスをやろうとか。昨今、地域ビジネスとかNPOとか流行ってますけど、そういう方向に発展していく可能性はないんですか?

H: ビジネスに行くというのは私の頭にはないですね。

G: 趣味だからビジネスには……。場合によっては、もう少し色んな事を調べていって、いろんなデータが蓄積され始めたら、ここに道路を通そうとか川をもう少し掘るという時に、すぐにデータが出せるんですね。それをアセスメント会社が買えば、あるいは行政が買えば・・。
地元だからずっとデータを蓄積するんですよ。過去10年分のデータを出して、わしらはこんなデータを持ってるんや。おまえらが出してきたアセスのデータとえらい違うやないか。こういうので口を黙らせるというのがあるかもしれない。

H: 黙らせるくらいのデータを作るというのは並たいていの事じゃないと思う。

I: 例えば今はまだ4年目だけど、10年くらいを機にして自費出版の本を作るとか。
今までの活動をまとめたりして。

H: 稼げるか? 自費出版だよ。

I: 赤字にならなけりゃOK。

G: ということは結局金になるような事業じゃない。エコミュージアムというのは基本的に地域を再発見しようという発想でしょう。

D: 地域の環境を今よりはいいものにしようと思ったらこんな組織がどこの場所にも必要なんでしょう。そんな気配はしますね。今までの町内会とか役所の組織とかそんなんだけじゃ出来ないようなところを埋めて行こうとするんだから。

G: それを金に出来るとすごいと思う。でもすごいとは思うけれど、僕もやりたいとは思わない。

D: 代表すら置かない団体だから、法人格なんて必要性がない。NPOなんて別世界の存在。

I: かといって、誰かのためにやっているのではなくて、自分のためにやってるから楽しいんであって、楽しいのが一番いい。

D: 非営利活動はNPOじゃなきゃダメという感じに世の中なっているが。
そうじゃないという実例ではないんですか。

H: NPOでもないし、企業でもないし、ボランティアでもないし。

I: 今までにない組織だからくくりようがない、言葉で表現しようがない。

C: 核のないアメーバみたいなものですね。そもそもエコミュージアムに連絡を取る時は、どこに取ればいいのか。

H: 公民館ですよ。

I: メーリングリストに上げてくればいい。

A: すごく連絡が取りやすいよね。

H: 公民館に来ればメーリングリスト記録も全部あるし。

D: 自宅でお仕事をされてる方は別として、僕らは組織で日々仕事してるでしょう。だから、こういうところに来たら安心するというのはありますよ。また、こっちに来て代表の下で仕事しなければいけないというと足が遠のくというか。

X: 時間がないんで後ひとつ。夢を、やりたいこと、こんな事が出来たらと言うのがあれば。今できていなくても、これからやりたいこと。

I: 一応固定されたメンバーではあるんだけど、どんな年代の人でもいいし、もうちょっと参加してもらえたらいいなと。一人でも二人でも増えてくれたら。

X: アメーバーだから来そうなもんだけど。

G: どん欲に取りこんでいかなくてはいけないですね。今まで「わくわく〜」の募集はしてるんですけど、この会の募集はあまりしてないですね。
はじめに自分が網に引っかかったように、他の人も引っかけたいなと思いますね。だから、「わくわく〜」の時に誘う。そうすればもう少しメンバーの出入りがある。出はあんまりほしくないですけど。

Z: さきほどの植物標本づくりを3人でやってらっしゃるけれど、そういう分派活動というかいろんな活動があって、そこにそれぞれ関心のある人を集めて行くような。
いきなりここに来て一緒に話しするというのはね、難しい。

A: あの活動はいいなと思ってますけど。今忙しいからお手伝い出来ないですけど。もうちょっと年とったらやりたいなって思いました。

G: 定年したらやりたいから、今から準備しようとしている。定年したら即出来るように。

A: その時誘って。

G: だから20年間準備して、それからがんばる。その時にね、たぶん今やってることが全部下地になってると思う。年とったら歩き回れるのは地元しかないんやもん。

H: まさしく生涯学習。

A: 地道だけどすごいですよね。

G: 大事なんです、あれはすごく。

A: Pさんと偶然お会いしたときに活動のお話を聞いたんですが、岡山県の植物をチェックされてるんですけど、それを見てて高島にもこういうものがあったらいいなと言われた。

I: 植物はいいよね。標本残せて。

G: 魚も残していいよ。

I: 残していいけど、干からびちゃう。

G: だって、液標本で。

X: 最後になりましたが、例えば僕が明日死んだら、環境保全課はもう付き合いませんよと言うことになったらどうしますか。

A: 臼持ってくる人がいなくなる。

X: 最初のIさんの話じゃないけれど、例えば、行政がいつまでも関わるかどうかはわからないけれど。

D: でも、個人的には関わるだろう。

X: 組織としては継続して欲しいなという思いがある訳ですよ。

I: 行政もだんだん離れていく方向に行くんではなくて、これからも共に行こうという方向に。

X: 全体としての姿勢はそういう風に保っておいて、直接密なつきあいとしては切り捨ててる訳じゃない。

I: イベントなんかで、ちょっとした名前を貸してもらえる当てがある。

H: 公民館がなくなるとやりずらくなると思う。事務局的な役割になってるし、場所も貸してもらえるし、何かあったら相談も出来るし。やっぱり市役所と公民館と我々とで繋がりがね。

D: 公民館の裏に住んでいる人をメンバーにするっていうのは。何かあったらすぐに来れるから。

H: 市役所と公民館とはやっぱり役割が違うでしょう。

X: でしょうね。最大の問題はそこにある。公民館がこういう形で続けられるかということ。

D: 行政は公民館を地域の窓口にしようとしているんですがね。

I: 金を掛けるべきところと、金を省くべきところを間違えてはいかん。

H: 環境保全課もたぶんXさんのような人じゃないとやりにくいんじゃない。

X: たぶんそう。

D: 課として他の人が代理で来てもつとまらないでしょう。ということは個人のパーソナリティに大部分負っているということ。

G: 初めの2年は来ていただいてましたよね。初めの1年はすごいサポートがありましたよね。2年目は来られるけど1年目ほどサポートはなかった。
だからそういう風に公民館の人が同じように少しずつ退いていかれる。
でも、Zさんずっとメーリングリストのデータを取られているということは入っておられるんですよね。

Z: 拝見だけしています。

G: いつも意識しながらメール書いたりしているんです。ちゃんと見てくださってるんだろうなと思って。環境保全課もそれと同じようにどんどん退いていかれるけれど、いつも見ていてくれてるんだろうなという立場で。
ただ、公民館は地域の公民館だから、それは遠のいて行くのはおかしいんじゃないかな。地域活動をしているのに対して地域の窓口ですよと言ってるところが退くのは。

以上、中途ですが、このような内容の座談会でした。「高島・旭竜エコミュージアム」活動の雰囲気が多少なりとも伝わったでしょうか? 関心をお持ちの方はメールにてご意見・ご感想をお寄せください

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